日本と東アジア諸国は、成長を実現し貧困を克服した成功例と考えられています。他方、アフリカでは、持続的成長が可能かどうか、過去の成長崩落の経験から深刻な疑問が発せられています。JICA研究所では、日本と東アジア諸国の成長と貧困削減、90年代の危機と回復の問題を、人間、国家、市場、社会の複合的視点から分析し、同時にアフリカ諸国の経済開発の実態を分析します。そして東アジアの経験とアフリカの経験のうち、共有できる要因について考察します。また、日本が開発途上国で蓄積してきたインフラ事業に関する経験や知見を生かして、その経済社会的効果に関する分析も行います。
成長と貧困削減 プロジェクトリスト(pdf)
研究テーマ
1. アフリカの経済開発アフリカ経済の持続的発展は、JICA研究所でも重要課題の一つと捉えています。民族の多様性と経済成長については、計量的に負の相関があるというのが通説ですが、そのメカニズムについては明らかにされていません。アフリカにおける民族の多様性と経済的な不安定性の関係について、政治学・経済学・人類学などの手法を用いて包括的に検討します。現在進行中の研究としては、タンザニアの家具生産の産業集積地での経営改善訓練が持つ効果の実証や一村一品運動の事例の研究があります。サブサハラ地域における米生産拡大の実証研究なども計画中です。
写真:渋谷敦志/JICA
2. アジアの経済開発日本と東アジア諸国の成長と貧困削減、90年代の危機と回復の問題を、人間、国家、市場、社会の複合的視点から分析し、他地域の開発に応用可能な教訓を探究します。他にもASEAN諸国の金融制度安定化に関する政策研究やミャンマー経済の研究が現在進行中です。アジアの経済開発の経験についての研究結果は、今後、東アジアの経験とアフリカの経験を比較し、共有できる要因を探る研究にもつなげていく予定です。
写真:吉田勝美/JICA
3. アフリカのインフラ整備アフリカの開発は国際社会全体の優先開発課題であり、日本もTICAD(アフリカ開発会議)などを通じて重点的な支援を展開しています。研究活動の中では、アフリカの農村部家計および企業のパネルデータを構築し、成長と貧困削減の過程における産業集積の役割、インフラの役割を含めた実証研究を進めます。
写真:谷本美加/JICA
4. アジアのインフラ整備アジア農村部の成長と貧困削減に関するミクロ実証研究を複数実施しています。日本の重要な開発パートナーであるアジア諸国に関し、農村部家計を中心としたパネルデータを構築し、成長と貧困削減の過程におけるミレニアム開発目標の達成状況や、インフラの役割を含めた実証研究を進めます。また2008年の金融危機の影響にも注目した分析を行います。スリランカ灌漑整備円借款プロジェクトを対象に、対象地域への影響の分析も進めています。
写真:結城貴子/JICA


