研究領域 成長と貧困削減
アジアの経済開発

写真:(左)今村健志朗/(右)谷本美加/JICA

東アジア通貨金融危機からの回復の政治経済学的分析

1997年から98年の通貨金融危機によって傷ついた東アジア諸国は、大方の予想よりも早いスピードで回復を遂げました。しかし危機以前には広く行われていたこれら諸国についての政治経済学的研究は、危機以後は下火になっています。危機を契機に市場メカニズムの優位性が声高に唱えられたのが、その一因です。本研究では、危機前に東アジア諸国の高度経済成長を助けたと言われた市場補完型の諸制度が、危機を契機にどのように変わったのか、その変化は危機以後の経済回復をどこまで説明するのかを探究します。同時に、やはり危機を契機に進んだアジア諸国の民主化や地域統合の進展が、経済発展のパターンにどのようなインパクトを与えたのかについても分析します。本研究は経済学者と政治学者による緊密な協力の下で実施されます。

ASEAN諸国の金融制度の安定化・強化

ASEAN諸国はアジア通貨危機を通して、深刻な金融危機とそれによる実体経済の停滞を経験しました。このため金融制度の安定化・強化が政策課題として大きなプライオリティを持つに至りました。このような背景の下に、JICAは地域特設研修として2004年度から「ASEAN金融制度強化セミナー」を実施しました。このセミナーは参加者から高い評価を受け、インドネシアでは金融セーフティーネットの制度設計に大きな影響を及ぼしました。本研究では、このセミナーの成果を踏まえて、金融セーフティーネットに関する包括的な理論を形成するとともに、金融バブル防止の政策課題、資本市場の位置付けや証券化への政策スタンスについて、具体的指針をまとめることを目指します。

ミャンマー経済の現実と課題

90年代後半から開放路線に向かうと見られたミャンマー政府に対し、JICAは2000年から2003年まで「ミャンマー経済構造調整支援」を実施し、経済社会発展についての提言を行いました。しかし、その後ミャンマー軍政は、内部の権力闘争とそれを支える中国の支援もあり、内向き政策を志向した結果、それら提言が有効に生かされることはありませんでした。ミャンマーは、その後もますます国際社会(特に欧米)からの孤立を深め、天然ガス収入などに依存しながら所得分配の不平等が拡大したままの発展を続けています。本研究では、その高い潜在能力にもかかわらず経済・社会の停滞が続いているミャンマーについて、生活水準を高め、一般市民を生活の不安から解放し、独自の文化・文明の発揚のため安んじてその能力を投入できる状態を実現するための提言を、ミャンマー経済の現状を分析した上でまとめます。

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