アフリカにおける民族多様性と経済的不安定
民族の多様性と経済成長については、計量的に負の相関があると言われますが、なぜそのような結果になるのかは明らかにされていません。本研究では経済学、政治学、人類学などを学際的に組み合わせ、アフリカに焦点を当てて民族の多様性と経済的な不安定性の間のリンケージについて包括的に研究することで、このような疑問に答えることを目指します。その一環として、民族問題を一つの原因として2007年末に深刻な紛争が発生したケニアの事例を特に深く分析します。以上の研究を通して、民族多様性と経済不安定性の関係についての包括的な理解を基に、多様性の中での経済政策とガバナンスのあり方について政策的な含意を導出します。
アフリカにおける経済危機のインパクト
本研究は、昨今の経済金融危機がアフリカの経済に及ぼす影響を分析することを目的とします。過去の数々の経済危機の前後において世界経済が構造的に変化してきた歴史的な経緯についての観察を踏まえつつ、マクロ経済データおよび計量的手法を用いて分析を行い、援助関係者やアフリカ諸国の政策決定者向けに政策提言を行うことを目指します。
サブサハラ・アフリカにおけるコメ生産拡大の実証分析
2008年5月のTICAD Ⅳ(アフリカ開発会議)において打ち出された「アフリカ稲作振興のための共同体」(CARD)イニシアティブは、アフリカにおける主要消費作物の一つであるコメの中期的な生産拡大を通じて中長期的な食糧問題の改善、および農村地域の振興と貧困削減に資することを目的としたものです。本研究においては、CARDイニシアティブが、コメの生産性向上や貧困削減にどのように貢献したかを実証分析し、農業技術や普及活動への示唆を得ることを目的とします。対象国は、タンザニア、モザンビーク、ウガンダ、ガーナ、セネガルを予定しています。
日本のアフリカにおける中小企業振興政策として一村一品運動の研究
本研究の目的は、マラウイにおける一村一品運動を日本やタイの経験と比較することを通して、アフリカで広がっている一村一品運動に関して、その中小企業振興や地域経済活性化へのインパクトという点での教訓を導出することです。研究仮説としては、以下のようなものがあります。(1)運動の成功には強力なリーダーの存在が必要である、(2)生産者が政府の支援内容を熟知し、有効に活用することが運動の成否を左右する、(3)リスク軽減のためにできるだけ多くの産品を試してみるべきである、(4)政府の政策が長期的に安定していないと認識されることは、運動の阻害要因になる、(5)一村一品運動は女性の農村部での経済活動の活性化に資する。
アフリカ産業集積の実証研究
世界銀行とFASID(国際開発高等教育機構)との共同研究の一環として、タンザニア・アルーシャで行った家具工場の全数調査および経営者トレーニングなどで得られたデータを基に、企業成長の要因を分析します。具体的には、企業のロケーション、集積密度および集積の多様性、労働市場の厚み、エスニック・ネットワーク、経営者トレーニング等と企業のパフォーマンスとの関係が分析対象となります。なお、現在タンザニア・ケニア間国際道路の改修が円借款によって進みつつあるので、事業完了後の時点で、その効果を見るために、再度全数調査を実施予定です。


